はじめに
赤ペン万年筆を用いての手書き添削で、1枚1枚心を込めて行ってきました。その経験を活かして、予備校や全国の高等学校にて、小論文の講演講座を担当するようになりましたが、各地から聞こえてきたのは、こんなうめき声でした。
「入試で必要なのはわかったけれど、何からはじめたらいいのか、わからない。」
「毎日のSNSでの発信は、慣れているけれど、小論文となると書けない。」
「何をどのように取り組むのか、過去問をみても、どうしたらいいのだろうと悩むだけ。」
……
また、高等学校の先生方からも、
「限られた受験時間の中でも、集中した指導の方法を知りたい。」
「具体的な添削方法を知りたい。」
「書けない生徒に、どのような働きかけをすればいいのかが知りたい。」
「国語科の先生方に、添削依頼が集中することを避けたい。」
……
こういった声にお応えするために、今回、このホームページ作成と相成りました。
「出題傾向と対策」を知り、「HST記事の有効活用」を知ることで、上記のお悩みにお答えすることが出来ます。HSTやそれに付随したワークシートも、授業の中で活用をして、大学入試小論文へのマイナスイメージを払拭して頂ければ幸いです。そしてなにより、合格へと繋げて頂ければ、これ以上嬉しいことはございません。
大学入試小論文の現状
現在、教育改革が2020年度から段階的に進められています。
センター試験廃止大学入学共通テストの導入に始まる大学入試改革のほか、文部科学省が決める学習指導要領も20年度から小学校中学校と改定され22年4月には、高校でも新しくなりました。新指導要領では育成すべき力として「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」を挙げています。この三つの力を育てようというのが新しい教育の方針だということです。
大学入学共通テストでは全教科にわたって「思考力や判断力」を問う問題が増えていて、この傾向は今後も続くと予想されています。なにより、「総合型選抜・学校推薦型選抜の増加」も見込まれています。
現状、私立大学入学者の5割以上が総合型学校推薦型選抜での合格です。総合型選抜(以前のAO入試)は、学力試験メインから、生徒の得意なことや学習意欲を「多角的に/総合的に」判断する入試方式であり、今後ますます増えてくるといわれています。
入試でも、社会の課題や日常の出来事と教科知識を結びつけて考える問題や、複数の資料を読み解いて考えさせる問題が増えています。
中でも小論文は、課題文や資料を読み解き、論じられている課題を把握する「思考力」、課題に対する自分の意見や提言、解決の方向性を組み立てる「問題解決力」、それらを論理立てて指定字数にまとめ、読み手に訴えかける「協働的コミュニケーション」……の各要素を、表現の中で測ることの出来る試験方法として改めてその役割が高まっているのです。
入試小論文を書かせるために ~まずは基本手順から~
高度情報化社会の中、日々SNSに晒され続け、「文章は綴っているから大丈夫!イザとなったら日本語だし、書けるだろう。」と、小論文入試への対策が甘い生徒が多い傾向にあります。しかし、志望校を定め、過去問を見て初めて、「難しい!」「一体何を書けばいいのか、さっぱりわからない」という受験生は多いのです。なんとなれば、「もう書けない」と、小論文受験を諦める生徒さんも見受けられます。
とはいえ、その先の〝進学先〟でも〝就職先〟でも、文章を読み、考え、書いて表現し、他者に伝える、ということは、必ずついて回るものなのだから、ここで、キチンと取り組む方が、絶対に自分自身のために、なるのです。
では、どのようにして、書けるようになるのでしょうか。なんとなく受験して、書けるものでは、もちろんありません。出題の意図を知り、書くための材料を揃え、どのような手順で取り組めばいいのか、を正しく知ることで、しっかりと合格するレベルまで力をつけることができるのです。
それには、まず、大学がどのような出題をしてくるのか、を知る必要があります。なぜなら出題形式によって対策が分かれるからです。
出題形式にはどのようなものがあるの…?
- 課題文型 → 論理的構成力や読解力、視野の広さや問題意識の鋭敏さが求められる。
- 統計資料型 → 資料の読み取りが明確かどうか、そこから問題意識を持てているかどうか。
- テーマ型 → 求められるテーマの問題を明確にし、自分なりに具体的に考えられているかどうか。
小論文を書くための手順とは…?
予備校講師として大学入試小論文試験の後、一番多く聞いた声に「時間が足りなかった」というものがあります。言い換えると、「読んで考える時間と、書く時間の配分を間違えた」ということ。だからこそ、時間配分を押えて、取り組む必要があったということなのです。
一般的な大学入試小論文では「90分で800字書く」というものが主流。まずは、物理的にマス目を手書きで埋める時間を差し引きましょう。800字なら、30分を目処にします。となると、「読んで考える時間」は、60分程度ということになります。
もちろん、読み手を意識しつつも早く書けるよ、という人は、書く時間が少なくなります。その分、読み、考えることができるということです。受験本番で、この時間配分を間違えないためにも、普段から書く手順をきちんとおさえ、身に染み込ませておくことが、大切なのです。
では、取り組む手順を、順にみていきましょう。
- 1.課題の要求を正確にとらえる
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- 出題形式を確認する。
- 設問を読み、何をどのように捉えていく必要があるのかをつかむ。
- 課題文の出典があるものは確認をする。
- 統計資料の場合、標題や注釈を確認し、何の統計資料かをつかむ。
- 2.出題形式毎に読解をしていく
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- 課題文型の場合 → 設問を正しく捉えてから、課題文の読解をし、筆者の主張を踏まえた上で考えていく必要がある。
- テーマ型 → 「地球環境問題について述べよ。」というように、テーマのみが提示されているもの。そのため、自分自身で、論点を定めてから書く必要がある。
- 資料型 → 図表等から設問を踏まえて、どこに論点を定めるかを考える必要がある。
- 3.課題の問いについての自分の意見を明確にし、書く材料を揃える
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なぜ?どのように?どこで?誰が?いつから?…と自分に問いかけながら、いろいろな方向から考察していく。
「3WHAT(定義・現状・結果)/4W(WHY・WHERE・WHEN・WHO(M))/1H(HOW)」という切り口で考えて、短文でよいので書き出してみる。 - 4.構成(文章の全体の流れ)を考え、組み立てる
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基本構成は、「序論 ⇒ 本論 ⇒ 結論」という形。論理に飛躍がなく、明確に自分の意見が述べられているか。
- 5.清書する
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構成に基づいて、清書をする。
- 6.清書したものを読み返し、推敲する
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- 段落構成については、600字では「3~4段落構成」、800字では「4~5段落構成」が適当と捉えます。
- 字数が増えても、序論と結論は一段落ずつ、本論が増えていくように構成を組み立てましょう。
- 「基本の段落構成」は、以下の通りです。まずは、これに当てはまるように、組み立てていくとわかりやすいでしょう。
序論<WHAT>現状 → 本論<WHY>理由/背景分析 → 結論<HOW>解決策
HSTが大学入試小論文対策に活用出来るワケ
大学入試小論文の出題内容は、学部学科に沿った「社会の課題や問題」です。そして毎年、多くの新聞記事が大学入試小論文課題に、引用されています。では、なぜ新聞記事が出題されるのでしょうか。それは、新聞の題材がまさに、「社会の課題や問題」を取り上げているから、です。
そもそも大学は、授業で教えてもらう受動的な勉強だけではなく、自らテーマを発見し、研究していくところです。
現代社会における課題や問題に対して、「この問題はなぜ起こるのだろう?」「背景にあるものは何だろう?」「どうすればこの問題を解決できるのだろうか?」というような、学問のテーマを見つける必要があります。そして調査・研究して考えた結果を、論理的に表現できる学生が求められるため、これらの力があるのかどうかが判断出来る「小論文試験」を、大学入試において出題するのです。そのため、学部学科が考えるべき社会の課題や問題を出題するといえます。
これらをふまえると、なによりまずは、志望の学部学科で出題される小論文の内容やキーワードを、しっかり理解しておく必要があります。
教科書が「知識」としてはベースとなりますが、現状の社会問題も踏まえるためには、新聞を日々読むことをオススメします。ただ読めばいい、ということではなく、問題意識を伴って読んでいくことが肝要。また、ただでさえ読書量が不足する中、限られた受験勉強期間では、なかなか取り組めないという受験生が多いのも、現状でしょう。
だからこそ、キッズ・コーポレーションのハイスクールタイムズは、とても有効利用できる優れた教育新聞、といえます。
- 現代社会で押えるべき問題や課題を解説している
- キーワードの解説がある
- 白書や統計など、入試に出題される資料が盛り込まれている
- 小論文添削問題も挙げられていて、実践的に活用出来る
……からです。
では、大学入試小論文対策としての「HSTの活用方法」とは・・・?・・・それは、会員限定ページにてお話しします。
HST会員登録について
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- 志望学部学科別のHST活用方法
- HSTを入試出題事例に沿ったワークシート
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